渋谷ヒカリエ特集

渋谷に新たに誕生する複合施設「渋谷ヒカリエ」。その魅力のすべてに迫る!

ヒカリエ誕生物語 Vol.3 東急シアターオーブは、渋谷を変えるエンジン

渋谷の街が一望できる“宙空の劇場”は、非日常の世界。

球形のフォルムを持ち、地上70mに位置する、まさに“宙空に浮かぶ劇場”。濃紺と白を基調にした劇場空間になる(シアターオーブ断面図)

 「渋谷ヒカリエ」の11~16階に位置し、建物の中核を担う施設。それが「東急シアターオーブ」だ。オーブとは英語で天球や球体を意味する。近未来的な球形のフォルムを持ち、地上70mにあるシアターオーブは、まさに“宙空に浮かぶ劇場”。一面に広がるガラス窓を通して渋谷の街が一望できるホワイエ、宇宙船に乗り込むかのような劇場入り口の階段、濃紺(空)と白(雲)を基調にデザインされた劇場空間など、非日常を盛り上げる演出もたっぷりある。そんなシアターオーブの基本コンセプトや展望などを、株式会社東急文化村 文化街区新劇場開発準備室 担当マネジャーの森田創さんに聞いた。

来年7月、ブロードウェーがそのまま渋谷にやって来る。

シアターオーブを「ライブエンターテインメントのすそ野を広げる場所にしたい」と意気込む森田さん

 「もともと渋谷は、映画館、劇場、ライブハウスなどが集積する“ライブエンターテインメントの街”。それがこの街の最大の魅力であり、銀座や六本木などと競う上でも大きな武器になります。なおかつ“オンリーワンの街としての渋谷の魅力をつくる”ためには、コピーできないもの、希少性やライブ感を大切にしたい。だから中核を担う施設として、劇場が最適だと判断しました」と森田さんは語る。
 さらにシアターオーブの基本コンセプトを、「今まで劇場に足を運ばなかった人も巻き込んで、ライブエンターテインメントのすそ野を広げる場所にしたい」と表現した。そのためには、間口が広く分かりやすいものがいいと考え、ミュージカルを中心演目に選んだという。「ミュージカルには、音楽、ファッション、舞台美術など、渋谷で成長している各パーツが具だくさんのシチューのように入っている」と森田さんは独特の表現で解説する。
 次に森田さんが挙げたのは、シアターオーブが持つ“5つのやすさ”だ。それはヒカリエの2階にチケット売り場を設置することでの“買いやすさ”、5つの路線の鉄道が直結することでの“来やすさ”、ミュージカルという演目の“分かりやすさ”、そしてどの席からでも“見やすく”“聴きやすい”ように設計された柔軟性のある劇場の構造となる。
 そう聞くと一刻も早くここでミュージカルが見たくなる。2012年7月に行われるオープニング公演は、本場ブロードウェーから招聘する『ウエスト・サイド・ストーリー』に決定した。なんとオリジナルキャストが全米ツアーに続いて渋谷にやって来るのだ。これは、野球でいえばメジャーリーグのチームがシーズンの真っただ中に日本に来るようなもの。しかも1957年のオリジナル舞台を忠実にリメイクし、セットも大がかりで、キャストや衣装も一新されたという。今から期待で胸がワクワクしてしまう。

見れば演劇や劇場が好きになる、そんな本物を提供したい。

 最後に、森田さんにシアターオーブが目指すものを聞いた。「ブロードウェーをはじめ、世界中の素晴らしいライブエンターテインメントを紹介していきたいです。震災後だからこそ、お客さまに感動やエネルギーを持ち帰っていただきたい。よく“観劇は最初の1本が大切”と言いますが、最初の1本で本物と巡り合えば、その人は演劇や劇場が好きになるはずです。そんな本物を提供していきたいですね。いろいろな意味で渋谷を変える強力なエンジンになりたいと思っています」。

文=田中雄二
写真=林 正