渋谷ヒカリエ特集

渋谷に新たに誕生する複合施設「渋谷ヒカリエ」。その魅力のすべてに迫る!

ヒカリエ誕生物語 Vol.6 『ウエスト・サイド・ストーリー』で来夏開業

ダンスもストーリーも音楽も超一級、ブロードウェイミュージカルの金字塔。

 「渋谷ヒカリエ」の中核を担う「東急シアターオーブ」が、来る2012年7月18日に開業する。こけら落とし公演(2012年7月18日〜8月5日)はブロードウェイミュージカル不朽の名作『ウエスト・サイド・ストーリー』に決定し、10月11日にオープニング・ラインナップの8作品が発表された。
 1957年にブロードウェイで初演された『ウエスト・サイド・ストーリー』は、シェークスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』を基に、舞台を現代のニューヨークに置き換え、プエルトリコ移民と白人の少年ギャング団同士の対立と抗争の中で芽生えた、愛と悲劇を描いたミュージカル大作。1961年には映画化され、アカデミー賞では作品賞、監督賞ほか10部門を受賞した。株式会社 東急文化村 文化街区新劇場開業準備室 時村晋太郎さんにこの『ウエスト・サイド・ストーリー』の見どころについて聞いた。

"すごい人たち"が作り上げた、極め付きのオープニング作品に。

ジェローム・ロビンスが要求した精神的にも肉体的にもぎりぎりのダンス。今回、これを体現できる若いキャストが起用される

 初めに時村さんは、「今回はオリジナルの脚本家であるアーサー・ローレンツが初演版に忠実に演出したものを上演します。彼は2011年の5月に亡くなったので、彼の思いが反映された作品はこれが最後になります。そういう意味でもとても貴重だと思います」と本作におけるローレンツの重要性について語った。
 初演版の制作当時、プエルトリコでは独立の気運が高まっていたが、ローレンツはそうした社会情勢を、白人とプエルトリコ人の対立という形で劇中に盛り込んだ。今回は人種問題という作品本来のエッセンスを際立たせるために、英語だけでなくスペイン語を多用するなどして、当時のニューヨークの状況をよりリアルに再現しているという。
 続けて時村さんは、「何が一番すごいかと言えば、初演時にジェローム・ロビンスが振り付けたダンスをそのまま再現していることです。彼は演者たちに、精神的にも肉体的にもぎりぎりのダンスを要求しました。あまりにも彼のこだわりが強かったため、映画版では途中降板させられました。今回はそうしたぎりぎりの要求にも耐えられ、それを体現できる力にあふれた若いキャストを起用しています。彼らのダンスの迫力が今回の最大の魅力かもしれません」とロビンスと彼が創造したダンスシーンのすごさについて語った。


「ウエスト・サイド・ストーリー」セットリスト

さらに、『ウエスト・サイド・ストーリー』で忘れてはならないのが、20世紀を代表する作曲家兼指揮者レナード・バーンスタインが、作詞家のスティーブン・ソンドハイムと共に作り上げた素晴らしい楽曲の数々だ(セットリスト参照)。

 タイトルを見るだけでメロディーが浮かんでくる、あるいは思わず踊り出したくなる人も少なくはないだろう。「トゥナイト」「マリア」「サムホエア」などは現在ではそれぞれが独立したスタンダード曲となっているので、舞台や映画を見ていなくても曲だけは知っているという人も多いはず。実際にどんなシーンで歌われるのかを確認するのも一興だ。

ミュージカルの原点が、東急シアターオーブの原点(オープニング)になる。

 最後に時村さんは、『ウエスト・サイド・ストーリー』と東急シアターオーブの関係について、「今日のミュージカルの隆盛は『ウエスト・サイド・ストーリー』が原点です。その原点をシアターオーブの原点(オープニング)に持ってくることで、日本におけるミュージカルの歴史を再確認できるのではないかと思います。さらにシアターオーブは、ステージと客席が近いので、ダンスや演技の迫力を感じ、体験していただくことが一番の見どころになると思います。ダンスもストーリーも音楽も素晴らしい『ウエスト・サイド・ストーリー』は、シアターオーブの"見やすさ"を生かした演目でもあるのです」と結んだ。

文=田中雄二
ALL PHOTOS: National Tour of West Side Story. (C) Joan Marcus, 2010.